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Japanische Klassiker mit Furigana

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つりしのしんきょう

釣り師の心境

坂口 安吾

Lesen Sie 釣り師の心境 (つりしのしんきょう) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.544 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

ずいぶん頑堅らしい田舎づくりの建物であったが、よくまア二階がぬけ落ちたものだ、と私は不思議な思いであった。建物によることでもあるが、あの団体のドンチャン騒ぎというものは、中学生の団体旅行などの比ではない。本当のバカ騒ぎでありアゲクが色々なことゝなる。伊勢甚のオカミサンが六十の婆サンを警戒したのは、営業上の悟りからきたところで、私の品性を疑ったワケではなかったらしい。けれども、いきなりこう言われると、人間はひがむものである。

翌日オカミサンは、さる病院を世話してくれた。ここは当主が死んで、もう病院も休業して久しい大建築物であった。

「未亡人と、年ごろの美しいお嬢さんもいますよ」

と言った。つまり、悟りをひらいているのである。六十の婆サンと変なことになるよりは、年頃の美しい娘と変なことになる方がよろしいという悟りであった。こうまで親切にされるのも妙なもので、四十四五のオカミサンが営業上の環境から自然と悟りをひらいて人生の奥義をきわめているというのは、あんまり気持のよいものではない。だいたい女というものは不惑をすぎるころから、自然に一流の悟りをひらくようである。