Japanische Klassiker mit Furigana
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すずきもんど
鈴木主水
久生 十蘭
Lesen Sie 鈴木主水 (すずきもんど) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.827 Zeichen · 26 Bildschirme
上のお側にいても、心はあなたのほうにばかり通い、身も世もない思いをしていらっしゃったのです」
主水は腕を組んで眼をつぶった。
「お糸さまは飯倉のお長屋に押籠めなっていられたのだそうですが、このほど、吉原へ奴勤めに下げられることにきまったので、その前にお別れにいらっしゃったのです。この年から、お家で不義を働くと、女は吉原へやって、期限なし給金なしの廓勤めをさせるという御法令になったのだそうですね。死にでもしなければ、廓から出ることができない儚い境涯になって、この世ではもうお目にかかる折もないだろうが、なまじいお顔を見ると、かえって思いが残るから、逢わずにこのまま帰る、この話はあなたの胸だけにおさめて、あの方にはお聞かせくださるな、とそうおっしゃって」
九月二十七日の夜、主水は池ノ端の松永久馬という未知の人から急々の使いをうけた。用談は御面晤の節と書いてある。とるものもとりあえず宛名のところへ訪ねて行ったが、手紙の主は他出したまま、まだ帰っていなかった。
湯島へぬけるので、男坂を上った。まだ宵の口で、大根畠の小格子といっている湯島の遊女屋へ行くぞめきの客が歩いている。