Japanische Klassiker mit Furigana
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てつのきりつ
鉄の規律
平林 初之輔
Lesen Sie 鉄の規律 (てつのきりつ) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.016 Zeichen · 30 Bildschirme
ことによるともうすでに軽蔑しているかもしれん。そしておまけに、僕は、そのことによって、君を軽蔑する自由を完全にもっているということを証拠立てているんだぜ」
「詭弁だ! じゃ君はどうかしようと言うのか?」
「僕は中央委員に反省を促そうと思うんだ。いかなる理由があっても個人を殺すということはできないということを党の規律の中に挿入することを要求するんだ」
「君の即座の死をもって中央委員は回答にかえるだろう」
「僕は僕の死をもって目的を貫徹する」
低い、物凄い笑いが二百二十四号の口を洩れた。
二人はまた沈黙した。およそ二十分も、おさえつけるような沈黙がつづいた。その間巷の騒音は手にとるように聞こえていた。
「君はまだ四十前らしいね。額のつやと、手のまる味と、全身の弾力とでそのことがわかる」と二百二十四号が長い沈黙を破って言った。
「僕は今こんなことを考えていたんだよ。我々二人が互いに昼間は同じ会社で机を並べて仕事をしている友人同士で、それが夜になると、互いに番号だけしか個性をもたない見ず知らずの人間として顔をあわしているような場合があるかもしれんとね。そして互いに相手をよく知っていても、知らない人としてつきあっていなきゃならんとしたらずいぶん滑稽なもんだろうね」