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Japanische Klassiker mit Furigana

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かなづち

鉄鎚

夢野 久作

Lesen Sie 鉄鎚 (かなづち) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.659 Zeichen · 62 Bildschirme

Aozora Bunko

そうするとその都度に胸が微かにドキドキして、顔がポーッと火熱るような気がしたのは今から考えても不思議な現象であった。

私は叔父の財産を惜しいとも思わなければ、伊奈子の辣腕を憎む気にもなれなかった。あの真赤に肥った、脂肪光りに光っている叔父の財産が、小さな女の白い手で音もなくスッと奪い去られる。……あとで叔父がポカンとなって尻餅を突いている……という図は寧ろ私にとって、小説や活動以上に痛快な観物に違いなかった。私が空想の世界でしか実現し得ない事を、彼女が現実世界でテキパキと実現して行く腕前の凄さに敬服する気持ちさえも、私の心の底に湧いて来るのであった。

けれども今一歩進んでその伊奈子が腕に縒をかけた計画を、その終極点のギリギリのところで引っくり返したら伊奈子はどんな顔をするだろう。そうして開いた口が閉がらずにいる彼女に「天罰思い知れ」とか何とかいう、いい加減な文句をタタキ付けて、泥の中に蹴たおして、手も足もズタズタに切れ千切れるような眼に会わしたら、どんなにかいい心持ちだろう。こう思うと、私の身うちの方々が、不可思議な快感でズキズキして来るように感じた。