Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
物に動ぜぬ家斉公も眼前に愛鳥を殺されたので顔色を変えて激怒した。
「憎き化鳥! 用捨はならぬ! 誰かある誰かある退治る者はないか! 褒美は望みに取らせるぞ! 誰かある誰かある!」
と呼ばわった。しかし誰一人それに応じて進み出ようとする者はない。声も立てず咳もせず固くなってかたまっている。これが陸上の働きならば旨を奉じて出る者もあろう。ところが相手は空飛ぶ鳥だ。飛行の術でも心得ていない限りどうにもならない料物である。ましてや弓も鷹も駄目と折り紙の付いた怪物である。誰が何んのために出て来るものか。
忽然この時林の中から一人の若者が走り出た。すなわち藪紋太郎である。
紋太郎は遙か彼方から此方に向かって一礼したが、その眼を返すと空を睨んだ。二尺八寸短い吹筒、つと唇へ当てたかと思うと大きく呼吸をしたらしい。ぴかりと光った白い物。それが空を縫ったらしい。その瞬間に恐ろしい悲鳴が空の上から落ちて来た。と、その刹那空の化鳥が一つ大きく左右に揺れたが、そのままユラユラと落ちて来た。しかしそこは劫を経た化鳥、地へ落ちて死骸を曝らそうとはしない。さも苦しそうに喘ぎ喘ぎ地上十間の低い宙を河原の方へ翔けて行く。