Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
その音こそ忘れもしない多摩川の空で垂天の大鵬が夕陽を浴びながら啼いたところのその啼き声と同じではないか。
紋太郎は思わず「あっ」といった。それから「しめたッ」と叫んだものである。
彼はじっと考え込んだ。
「ううむやっぱりそうだったのか! 俺の睨みは外れなかったと見える……もうあの音の聞こえるからは化鳥の在所はいわずと知れたこの写山楼に相違ない」
彼の勇気は百倍したが、しかしこのまま写山楼へ踏み込むことも出来なかったのでグルグル塀外を歩き廻り尚その音を確かめようとした。
しかし音は瞬間に起こりしかして瞬間に消えてしまったのでどうすることも出来なかった。
「だんだん夜は逼って来る。やんでいた雪も降り出して来た。さてこれからどうしたものだ。……うむしめた! 明日は非番だ! 今日はこのまま家へ帰り明日は朝から出張ることにしよう」
で、充分の未練を残し彼が邸へ帰り着いたのはその日もとっぷり暮れた頃であったが翌日は扮装も厳重にし早朝から邸を出た。
昨日の雪が一二寸積もり、江戸の町々どこを見ても白一色の銀世界で今出たばかりの朝の陽が桃色に雪を染めるのも冬の清々しい景色として何とも云えず風情がある。