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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうせんかいじへん

銅銭会事変 短編

国枝 史郎

Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

左伝次は黙って聞いていたが、その顔には曖昧な、混乱したものが現われた。

「その人の名は何んというな?」やがて左伝次はこう訊いた。

「白旗弓之助様と申します」

「うむ、お旗本で白旗か……。小左衛門殿のご縁辺かな?」

「そのお方のご次男様で」

「では確か北お町奉行、曲淵様とはご親戚のはずだが」

「はい叔父甥の仲だそうで」

左伝次はじっと考え込んだ。「昨日から行方が不明なのだな?」

「はいさようでございます」

ここで左伝次はまた考えた。

「弓之助殿のご様子は? つまり容貌風采だな」

「色白の細面、中肉中身長でございます」

「うむ、そうして腰の物は?」

「あの細身の蝋鞘の大小……」

「うむ、そうしてご定紋は?」

「はい丸に蔦の葉で」

すると左伝次はヒョイと立った。

「お色殿ちょっとこっちへおいで」

障子を開けると縁へ出た。

午後の陽が中庭にあたっていた。

お色は相手の気勢に引かれ、立ってその後へ従った。

縁は廻廊をなしていた。その外れに離れ座敷があった。不思議なことには、昼だというのに、雨戸がピッタリ閉まっていた。離れ座敷の前までゆくと、左伝次は入り口の戸を開けた。最初の部屋は暗かった。