Japanische Klassiker mit Furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Lesen Sie 錦木 (にしきぎ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.481 Zeichen · 103 Bildschirme
「只今はどうも、わざわざ恐れ入りましてす」
声は前にかわらずやさしいけれ共「その様子では可愛いどころか一寸好いなんかと思う人が有ったら天地がさかさになってしまうだろう」兄君はその美くしい眼にかるい冷笑をうかべながらこんな人のわるいことを思って居た。
常盤の君はわきに居る人をはばかる様子もなく兄君ばかりを相手にしてしゃべっては高笑いして居る。「人もなげな様子をして居る人だ。人にすかれない人にかぎって斯うだから、世の中は不思議だ」まだ年若なくせに光君はもう年よったようにこんな世間なれたようなことを思って居た。まるであくどいにしき絵をおしつけて見せられる様な心持でたまらなくむねが悪くなる。早く紫の君のあのかがやく様な姿が見えれば好いのにとはだれでもが思って居ることで有った。
「紫の君はどうしたんでしょうね。貴方は存じない?」
母上が口をきった。光君は千万の味方を得たようにその方を向いた。
「どうしたんでございましょうね、あんまり御またせ申して居りますこと。ほんとに持って居る自分のねうちよりもよく見せようと思うには仲々手間の入ることでございましょうから」
常盤の君は自分の妹の美くしさをねたんでこんなことを云う。