Japanische Klassiker mit Furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Lesen Sie 錦木 (にしきぎ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.481 Zeichen · 103 Bildschirme
光君はあかりをハッキリさせることはこの頃大変きらいになったので明障子も生絹にかえたので昼中でも部屋の中はうすぐらい、その中に香はめ入るようなかおりを立てて居る。紅の姿や乳母はすっかりおとろえた形になってしまった。やせてつかれた紅はその姿がますます美くしくなった。
「夢の国へ――、夢の国へ、私はあこがれて居るのに」
人形を抱いたまま美しく化粧した光君は云って居る。
「あの衣をしたててそして着せて御上げ、それから髪も結ってネー、マア、あんな可愛い声で笑って居る、うれしいから? 何だか分らないネー、桐の葉がしげって、夏が来て――、うれしい? かなしい? なつかしい方」
わきに居る紅と乳母はソッとかおを見合せた。
「白い鳥がとんで居る、□ラ、ネ、あんな立派に、その背にのって居る私達は、うれしい、まるで、ネエ」
紅はそっと目をふいた。乳母は目をつぶって珠数をつまぐって居る。
光君は手をのばしていきなり紅の手をとった。
「この手と彼の人の手と同じ形をして居る、不思議なもんだこと。あんなきれいなかわいい人もやっぱり人間だと見えて、同じ手をもって居るらしかったけれど、アラ、彼の人が怒り出してしまった。