Japanische Klassiker mit Furigana
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くわとかまのごがつ
鍬と鎌の五月
黒島 伝治
Lesen Sie 鍬と鎌の五月 (くわとかまのごがつ) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.911 Zeichen · 6 Bildschirme
「おい/\、こいつ居眠りをしているよ」暫らくして後藤は西山の耳もとへきて囁いた。
「…………」
見ると、スパイは、日あたりのいゝ、積重ねられた薪の南側に腰をおろしてうつら/\櫓をこいでいた。
人の邪魔をしながら、いい気になっていやがるんだ、と西山は思った。彼は何か胸にむら/\とするものを感じた。
「やったろうか!」彼は後藤に囁いた。
「うむ。」後藤の眼はうなずいた。
彼はゆさ/\崩れそうにゆれる薪の上を歩いている宗保に手で合図をした。
宗保が、揺れる薪の上からおりて来ると、三人は、スパイが居眠りをしているのとは反対の北側へ集った。そして、家のようなうず高い薪の堆積にぐいと力を入れた。薪は、なだれのように、居眠りをしている×××の頭上を××××、××した。ぐしゃッと人間の肉体が××××音が薪の崩れ落ちる音にまじった。
「あ、あぶない、あぶない。薪がひとりでに崩れちゃったよ」
三人は、大声をあげて人に聞えるように叫んだ。
それが、メーデーに於ける彼等の、せめてもの心慰めだった。
(一九三〇年四月)