Japanische Klassiker mit Furigana
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かぎ
鍵
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 鍵 (かぎ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.182 Zeichen · 200 Bildschirme
朝から晩まで、どんな時でも夫はいつもあのことばかり考えていて、私の極めて僅かばかりの暗示にもたちまち反応を呈せずにはいない。隙を見せれば即座に切り返して来るのである)間もなく私は夫が私のベッドの方へ上って来、うしろから私を抱きすくめて耳の裏側へ激しい接吻をつづけざまに注ぐのを、眼をつぶったまま許していた。………私はそんな工合にして、今ではどんな意味ででも愛しているとは云い得ないこの「夫」という人に、自分の耳朶をいじくらせることを、決して不愉快には感じなかった。木村に比べると、何という不器用な接吻の仕方であろうと思いながら、この「夫」の変にくすぐったい舌の感触を、そう一概に気味悪くは感ぜずに、―――まあ云ってみれば、その気味の悪いところにもおのずから一種の甘みがあるという風に思いながら、味わうことができたのであった。私は「夫」を心から嫌っているには違いないが、でもこの男が私のためにこんなにも夢中になっているのを知ると、彼を気が狂うほど喜悦させてやることにも興味が持てた。つまり私は、愛情と淫慾とを全く別箇に処理することができるたちなので、一方では夫を疎んじながら、―――何というイヤな男だろうと、彼に嘔吐を催しながら、そういう彼を歓喜の世界へ連れて行ってやることで、自分自身もまたいつの間にかその世界へはいり込ん