Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かぎ

鍵

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 鍵 (かぎ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.182 Zeichen · 200 Bildschirme

Aozora Bunko

―――そう、私は今「好奇心」という語を使ったが、当時は夫を喜ばすために夫以外の人間にちょっとした好奇心を持ってみるのだ、という風に自分に云い聴かせていた。一月二十八日に、始めて人事不省になった時の心理状態を云えば、木村に対する自分の気持が夫のためのものであるのか、自分自身のためのものであるのか、その辺の境界があの晩あたりから自分にも分らなくなって来たので、その苦しさをごまかそうとしていたのであった。あの晩から、二十九日、三十日の朝にかけて、私はずっと寝通していた。「彼女ノ性質カラ推シテ、果シテホントウニ睡ッテイタノカ寝タフリヲシテイタノカ、ソノ点ハ疑ワシイ」と夫が書いているあの二日間、私は決して「寝タフリヲシテイタ」のではないが、そうかといって完全に意識を失いつづけていたとは云いがたい。あの時の半睡半醒の状態は、大体あの折の日記に書いた通りであるが、「彼女ノ口カラ『木村サン』トイウ一語ガ譫語ノヨウニ洩レタ」ことについては、多少書き添える必要があろう。あれは「ホントウノ譫語ダッタノカ、譫語ノゴトク見セカケテ故意ニ僕ニ聞カセタノデアルカ」どちらであるかといえば、その中間ぐらいであったといえよう。