Japanische Klassiker mit Furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme
日本橋大伝馬町二丁目の川口屋という酒屋の店さきへ初荷が来た。一丁目から二丁目へかけては木綿問屋の多いところで俗に木綿店というくらいだが、この川口屋は酒屋で、店もふるい。殊に商売であるから、取分けて景気がいい。朝からみんな赤い顔をして陽気に騒ぎ立てている。
初荷の車は七、八台も繋がって来る。いうまでもないが、初荷の車を曳く牛は五色の新しい鼻綱をつけて、綺麗にこしらえている。その牛車が店さきに停まったので、大勢がわやわや言いながら、車の上から積樽をおろしている。そのあいだは牛を休ませるために、綱を解いて置く。すると、ここに一つの騒動が起った。というのは、この朝は京橋の五郎兵衛町から正月早々に火事を出して、火元の五郎兵衛町から北紺屋町、南伝馬町、白魚屋敷のあたりまで焼いてしまった。その火事場から引揚げてきた町火消の一組が丁度ここを通りかかったが、春ではあるし、火事場帰りで威勢がいい。この連中が何かわっと言って来かかると、牛はそれに驚いたとみえて、そのうちの二匹は急に暴れ出した。
さあ、大変。下町の目抜という場所で、正月の往来は賑っている。その往来のまん中で二匹の牛が暴れ出したのだから、実におお騒動。