Japanische Klassiker mit Furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme
を刺し、双方が必死に絞めつけ突き刺して、ついに相討ちになったのであろうという。
お元の家出と二人の横死と、そのあいだに何かの関係があるかないか、それも判らなかった。もし関係があるとすれば、お元と義助と諜しあわせて家出をしたのを、梅次郎があとから追い着いて格闘を演ずることになったのか。あるいはそれと反対に、お元と梅次郎とが家出したのを、義助が追って行ったのか。かれらは何がゆえに闘ったのか、お元はどうしたのか。それらの秘密は誰にも判らなかった。
お元が江戸へ帰る途中、その袂に忍ばせている鼠を梅次郎と義助に見付けられて、ずいぶん困ったこともあったというから、あるいはその秘密を守る約束のもとに、二人の若い男はお元に一種の報酬を求めたかも知れない。その情交のもつれがお元の家出にむすび付いて、こんな悲劇を生み出したのではないかと、七兵衛夫婦はひそかに想像したが、もとより他人に言うべきことではなかった。
ふたりの死骸を初めて発見したのは、そこへ通りかかった青山百人組の同心で、死骸のまわりを一匹の灰色の小鼠が駈けめぐっていたとのことであるが、それはそこらの野鼠が血の匂いをかいで来たので、お元の鼠とは別種のものであろう。