Japanische Klassiker mit Furigana
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かがみのなかのつき
鏡の中の月
宮本 百合子
Lesen Sie 鏡の中の月 (かがみのなかのつき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.290 Zeichen · 15 Bildschirme
柵のところどころに、短い棒切れに結びつけた日の丸の旗が貧しげに出されている。誰かを出征させている家族が、そうやって自分の家の前の柵に日の丸を夜も昼も、還って来る日までと、出しているのであった。瀧子はきょう学校へ来た魚売の神さんが、よう覚悟しとったのに、どういうもんじゃろか、五体がふるいますけん、と真蒼な顔をして笑っていたのを思い出した。神さんのところには六人子がいるのであった。瀧子は、そうやって明け暮旗を出している人々の心持、魚うりの神さんの蒼い笑顔を思うと、鳥肌立つ気がした。そのような人々の切ない混りけない今の気持にのって山口のように生きようとしている男もあるのである。瀧子は深い心痛む思いにとらわれながら、二つ先の駅まで揺られて行った。