Japanische Klassiker mit Furigana
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に、さんば――じゅうに、さんば
鏡花短篇集
泉 鏡花
Lesen Sie 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.305 Zeichen · 66 Bildschirme
尤も、時にはこっちから、故とおいでの儀を御免蒙る事がある。物干へ蒲団を干す時である。
お嬢さん、お坊ちゃんたち、一家揃って、いい心持になって、ふっくりと、蒲団に団欒を試みるのだから堪らない。ぼとぼとと、あとが、ふんだらけ。これには弱る。そこで工夫をして、他所から頂戴して貯えている豹の皮を釣って置く。と枇杷の宿にいすくまって、裏屋根へ来るのさえ、おっかなびっくり、(坊主びっくり貂の皮)だから面白い。
が、一夏縁日で、月見草を買って来て、萩の傍へ植えた事がある。夕月に、あの花が露を香わせてぱッと咲くと、いつもこの黄昏には、一時留り餌に騒ぐのに、ひそまり返って一羽だって飛んで来ない。はじめは怪しんだが、二日め三日めには心着いた。意気地なし、臆病。烏瓜、夕顔などは分けても知己だろうのに、はじめて咲いた月見草の黄色な花が可恐いらしい……可哀相だから植替えようかと、言ううちに、四日めの夕暮頃から、漸っと出て来た。何、一度味をしめると飛ついて露も吸いかねぬ。
まだある。土手三番町の事を言った時、卯の花垣をなどと、少々調子に乗ったようだけれど、まったくその庭に咲いていた。