Japanische Klassiker mit Furigana
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に、さんば――じゅうに、さんば
鏡花短篇集
泉 鏡花
Lesen Sie 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.305 Zeichen · 66 Bildschirme
貴方は、そうして御経をお読み遊ばすくらい、縦令お山で日が暮れても些ともお気遣な事はございますまいと存じます。」
言いかけてまた近き、
「あのさようなら、貴方はお薬になる草を採りにおいでなさるのでござんすかい。」
「少々無理な願ですがね、身内に病人があって、とても医者の薬では治らんに極ったですから、この医王山でなくって外にない、私が心当の薬草を採りに来たんだが、何、姉さんは見懸けた処、花でも摘みに上るんですか。」
「御覧の通、花を売りますものでござんす。二日置き、三日置に参って、お山の花を頂いては、里へ持って出て商います、丁ど唯今が種々な花盛。
千蛇が池と申しまして、頂に海のような大な池がございます。そしてこの山路は何処にも清水なぞ流れてはおりません。その代暑い時、咽喉が渇きますと、蒼い小な花の咲きます、日蔭の草を取って、葉の汁を噛みますと、それはもう、冷い水を一斗ばかりも飲みましたように寒うなります。それがないと凌げませんほど、水の少い処ですから、菖蒲、杜若、河骨はござんせんが、躑躅も山吹も、あの、牡丹も芍薬も、菊の花も、桔梗も、女郎花でも、皆一所に開いていますよ、この六月から八月の末時分まで。