Japanische Klassiker mit Furigana
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に、さんば――じゅうに、さんば
鏡花短篇集
泉 鏡花
Lesen Sie 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.305 Zeichen · 66 Bildschirme
濡れた団扇は骨ばかりに裂けました。
怪飛んだようになって、蹌踉けて土砂降の中を飛出すと、くるりと合羽に包まれて、見えるは脚ばかりじゃありませんか。
赤蛙が化けたわ、化けたわと、親仁が呵々と笑ったですが、もう耳も聞えず真暗三宝。何か黒山のような物に打付かって、斛斗を打って仰様に転ぶと、滝のような雨の中に、ひひんと馬の嘶く声。
漸々人の手に扶け起されると、合羽を解いてくれたのは、五十ばかりの肥った婆さん。馬士が一人腕組をして突立っていた。門の柳の翠から、黒駒の背へ雫が流れて、はや雲切がして、その柳の梢などは薄雲の底に蒼空が動いています。
妙なものが降り込んだ。これが豆腐なら資本入らずじゃ、それともこのまま熨斗を附けて、鎮守様へ納めさっしゃるかと、馬士は掌で吸殻をころころ遣る。
主さ、どうした、と婆さんが聞くんですが、四辺をきょときょとすばかり。
何処から出た乞食だよ、とまた酷いことを言います。尤も裸体が渋紙に包まれていたんじゃ、氏素性あろうとは思わぬはず。
衣物を脱がせた親仁はと、唯悔しく、来た方を眺めると、脊が小さいから馬の腹を透かして雨上りの松並木、青田の縁の用水に、白鷺の遠く飛ぶまで、畷がずっと見渡されて、西日がほんのり紅いのに、急な大雨で往来もばったり、その親仁らしい姿も見えぬ。