Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

に、さんば――じゅうに、さんば

鏡花短篇集

泉 鏡花

Lesen Sie 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.305 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

余の事にしくしく泣き出すと、こりゃ餒うて口も利けぬな、商売品で銭を噛ませるようじゃけれど、一つ振舞うて遣ろかいと、汚い土間に縁台を並べた、狭ッくるしい暗い隅の、苔の生えた桶の中から、豆腐を半挺、皺手に白く積んで、そりゃそりゃと、頬辺の処へ突出してくれたですが、どうしてこれが食べられますか。

そのくせ腹は干されたように空いていましたが、胸一杯になって、頭を掉ると、はて食好をする犬の、と呟いて、ぶくりとまた水へ落して、これゃ、慈悲を享けぬ餓鬼め、出て失せと、私の胸へ突懸けた皺だらけの手の黒さ、顔も漆で固めたよう。

黒婆どの、情ない事せまいと、名もなるほど黒婆というのか、馬士が中へ割って入ると、貸を返せ、この人足めと怒鳴ったです。するとその豆腐の桶のある後が、蜘蛛の巣だらけの藤棚で、これを地境にして壁も垣もない隣家の小家の、炉の縁に、膝に手を置いて蹲っていた、十ばかりも年上らしいお媼さん。

見兼ねたか、縁側から摺って下り、ごつごつ転がった石塊を跨いで、藤棚を潜って顔を出したが、柔和な面相、色が白い。

小児衆小児衆、私が許へござれ、と言う。疾く白媼が家へ行かっしゃい、借がなくば、此処へ馬を繋ぐではないと、馬士は腰の胴乱に煙管をぐっと突込んだ。