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Japanische Klassiker mit Furigana

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しっぽうのはしら

鏡花短編集

泉 鏡花

Lesen Sie 鏡花短編集 (しっぽうのはしら) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.632 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

一枚、背中に当がって、情に包んでくれたのである。

見上ぐる山の巌膚から、清水は雨に滴って、底知れぬ谷暗く、風は梢に渡りつつ、水は蜘蛛手に岨を走って、駕籠は縦になって、雲を仰ぐ。

前棒の親仁が、「この一山の、見さっせえ、残らず栃の木の大木でゃ。皆五抱え、七抱えじゃ。」「森々としたもんでがんしょうが。」と後棒が言を添える。「いかな日にも、はあ、真夏の炎天にも、この森で一度雨の降らぬ事はねえのでの。」清水の雫かつ迫り、藍縞の袷の袖も、森林の陰に墨染して、襟はおのずから寒かった。――「加州家の御先祖が、今の武生の城にござらしった時から、斧入れずでの。どういうものか、はい、御維新前まで、越前の中で、此処一山は、加賀領でござったよ――お前様、なつかしかんべい。」「いや、僕は些とでも早く東京へ行きたいんだよ。」「お若いで、えらい元気じゃの。……はいよ。」「おいよ。」と声を合わせて、道割の小滝を飛んだ。

私は駕籠の手に確と縋った。

草に巨人の足跡の如き、沓形の峯の平地へ出た。巒々相迫った、かすかな空は、清朗にして、明碧である。

山気の中に優しい声して、「お掛けなさいましな。