Japanische Klassiker mit Furigana
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かいかのおっと
開化の良人
Lesen Sie 開化の良人 (かいかのおっと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.438 Zeichen · 32 Bildschirme
いや、耳を借さない所か、彼はその権妻と云う言が大嫌いで、日頃から私をつかまえては、『何しろいくら開化したと云った所で、まだ日本では妾と云うものが公然と幅を利かせているのだから。』と、よく哂ってはいたものなのです。ですから帰朝後二三年の間、彼は毎日あのナポレオン一世を相手に、根気よく読書しているばかりで、いつになったら彼の所謂『愛のある結婚』をするのだか、とんと私たち友人にも見当のつけようがありませんでした。
「ところがその中に私はある官辺の用向きで、しばらく韓国京城へ赴任する事になりました。すると向うへ落ち着いてから、まだ一月と経たない中に、思いもよらず三浦から結婚の通知が届いたじゃありませんか。その時の私の驚きは、大抵御想像がつきましょう。が、驚いたと同時に私は、いよいよ彼にもその愛の相手が出来たのだなと思うと、さすがに微笑せずにはいられませんでした。通知の文面は極簡単なもので、ただ、藤井勝美と云う御用商人の娘と縁談が整ったと云うだけでしたが、その後引続いて受取った手紙によると、彼はある日散歩のついでにふと柳島の萩寺へ寄った所が、そこへ丁度彼の屋敷へ出入りする骨董屋が藤井の父子と一しょに詣り合せたので、つれ立って境内を歩いている中に、いつか互に見染めもし見染められもしたと云う次第なのです。