Japanische Klassiker mit Furigana
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かいひいちようちょう
開扉一妖帖
泉 鏡花
Lesen Sie 開扉一妖帖 (かいひいちようちょう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.898 Zeichen · 40 Bildschirme
いや、何とも。」
上脊があるから、下にしゃがんだ男を、覗くように傾いて、
「どうなさいました、まあ。」
「何の事はありません。」
鉄枴ヶ峰では分るまい……
「身延山の石段で、行倒れになったようなんです。口も利けない始末ですがね、場所はどこです、どこにあります、あと何階あります、場所は、おさらいの会場は。」
「おさらい……おさらいなんかありませんわ。」
「ええ。」
ビルジングの三階から、ほうり出されたようである。
「しかし、師匠は。」
「あれさ、それだけはよして頂戴よ。ししょう……もようもない、ほほほ。こりゃ、これ、かみがたの口合や。」
と手の甲で唇をたたきながら、
「場末の……いまの、ルンならいいけど、足の生えた、ぱんぺんさ。先生、それも、お前さん、いささかどうでしょう、ぷんと来た処をふり売りの途中、下の辻で、木戸かしら、入口の看板を見ましてね、あれさ、お前さん、ご存じだ……」
という。が、お前さんにはいよいよ分らぬ。
「鶏卵と、玉子と、字にかくとおんなじというめくらだけれど、おさらいの看板ぐらいは形でわかりますからね、叱られやしないと多寡をくくって、ふらふらと入って来ましたがね。