Japanische Klassiker mit Furigana
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あなんとじゅじゅつしのむすめ
阿難と呪術師の娘
岡本 かの子
Lesen Sie 阿難と呪術師の娘 (あなんとじゅじゅつしのむすめ) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.425 Zeichen · 58 Bildschirme
傍へ寄って来るが宜い。煩悩よ。煩悩よ。(手を差し出して)さあ来ないか。寄って来ないか。(手を引きこめて)お前達はまだわたしがお前達を仇のように憎んで居ると思って居るのか。それは大きな思違いだ。わたしの眼を開いて呉れたのは、難みよ、お前だ。わたしを難みに引き入れて呉れたのは、罪よ、お前の骨折のお蔭ではないか。結句お前達は、わたしの恩人だ。だからわたしは今はもう、お前達に感謝こそすれ、仇敵と思う心は毛頭もない筈ではないか。
(阿難、今度は娘の方を向く。)
阿難 ――おお、娘、あなたは、まだ其処に居たのですか。
娘 ――(一寸呆れたが、おずおず。)お気がつきましたか。御気分は如何で御座います。
阿難 ――そんな事はどうでも宜いのです。それよりか悦んで下さい。阿難はあなたのどんな心持ちでも享けることが出来るようになりました。
娘 ――まあ!
阿難 ――御覧なさい、わたしの眼を。今までわたしはあなたの眼をまともに見ることが出来なかった。なぜならばあなたの眼には罠が仕掛けてあったからです。それをまともに見たら、わたしの心は直ぐにその罠に引っ掛りそうだったからです。しかし今はそんなことはない。