Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅう
陰獣
江戸川 乱歩
Lesen Sie 陰獣 (いんじゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.968 Zeichen · 131 Bildschirme
余り様子が変っていたので挨拶もしなかったけれど、確かに春泥に相違ないのです」
「どこで、どこで」
私は思わず聞返した。
「浅草公園ですよ。僕その時実は朝帰りの途中で、酔がさめ切っていなかったのか知れませんがね」本田はニヤニヤして頭をかいた。「ホラ来々軒っていう支那料理があるでしょう。あすこの角の所に、まだ人通りも少い朝っぱらから、真赤なとんがり帽に道化服の、よく太った広告ビラ配りが、ヒョコンと立っていたのです。何とも夢みたいな話だけど、それが大江春泥だったのですよ。ハッとして立止って、声をかけようかどうしようかと思い迷っている内に、相手の方でも気づいたのでしょう。併しやっぱりボヤッとした無表情な顔で、クルリと後向きになると、そのまま大急ぎで向うの路地へ這入って行ってしまいました。よっぽど追っかけ様かと思ったけれど、あの風体じゃ挨拶するのも却って変だと考え直して、そのまま帰ったのですが」
大江春泥の異様な生活を聞いている内に、私は悪夢でも見ている様な、不愉快な気持になって来た。そして、彼が浅草公園で、とんがり帽と道化服をつけて立っていたと聞いた時には、何故かギョッとして、総毛立つ様な感じがした。