Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

いんじゅう

陰獣

江戸川 乱歩

Lesen Sie 陰獣 (いんじゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.968 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

あなたのお気の済む様に、どんなことでも致します。仮令あなたに殺されても、少しもお恨みには思いません。でも、主人丈けは助けて下さい。私はあの人に嘘をついたのです。その上私の為にあの人が死ぬ様なことになっては、私、あんまり空恐ろしいのです。助けて下さい。助けて下さい」彼女は小さな声ではあったが、心をこめてかき口説いた。だが、上からは何の返事もないのだ。彼女は一時の興奮からさめて、気抜けのした様に、長い間そこに立ちつくしていた。併し、天井裏にはやっぱり幽かに時計の音がしているばかりで、外には少しの物音も聞えては来ないのだ。陰獣は闇の中で、息を殺して、唖の様に黙り返っているのだ。その異様な静けさに、彼女は突然非常な恐怖を覚えた。彼女は矢庭に居間を逃げ出して、家の中にも居たたまらなくて、何の気であったか、表へかけ出してしまったというのだ。そして、ふと私のことを思出すと、矢も楯もたまらず、そこにあった自動電話に入ったということであった。

私は静子の話を聞いている内に、大江春泥の不気味な小説「屋根裏の遊戯」を思出さないではいられなかった。若し静子の聞いた時計の音が錯覚でなく、そこに春泥がひそんでいたとすれば、彼はあの小説の思附きを、そのまま実行に移したものであり、誠に春泥らしいやり方と肯くことが出来た。