Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅう
陰獣
江戸川 乱歩
Lesen Sie 陰獣 (いんじゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.968 Zeichen · 131 Bildschirme
ただの水死人ではなくて殺人事件だと分ると、騒ぎは一層大きくなったが、さて、水から引上げる段になって、又一つ奇妙なことが発見された。
知らせによって駈けつけた、花川戸交番の巡査の指図で、発着所の若い者が、モジャモジャした死骸の頭の毛を掴んで引上げようとすると、その頭髪が頭の地肌から、ズルズルとはがれて来たのだ。若い者は、余りの気味悪さに、ワッと云って手を離してしまったが、入水してからそんなに時間がたっている様でもないのに、髪の毛がズルズルむけて来るのは変だと思って、よく調べて見ると、何のことだ、髪の毛だと思ったのは、鬘で、本人の頭はテカテカに禿上っていたのであった。
これが静子の夫であり、碌々商会の重役である小山田六郎氏の、悲惨な死様であったのだ。つまり、六郎氏の死体は、裸体にされた上、禿頭に、ふさふさとした鬘まで冠せて、吾妻橋下に投込まれていたのだった。しかも、死体が水中で発見されたにも拘らず、水を呑んだ形跡はなく、致命傷は背中の左肺部に受けた、鋭い刃物の突傷であった。致命傷の外に背中に数ヶ所浅い突傷があった所を見ると、犯人は幾度も突きそくなったものに相違なかった。