Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ちんじょうしょ

陳情書

西尾 正

Lesen Sie 陳情書 (ちんじょうしょ) von 西尾 正 (にしおただし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.750 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

呀ッと面を押えて退け反った時に、今度は妻の方が再びもぞもぞと起き上る気配なので、我を忘れて駈け寄るが早いか、体と云わず顔と云わず滅多矢鱈に殴りつけました。寔にそれは忘我の陶酔境でありまして、右手が疲れると左手に持ち直し、息の根絶えよと許りスティックの粉々に折れ尽きる迄殴り続けたので有ります。最初の裡くねくねと体を蠢めかして居た妻も、軈ては気力尽きてぐったり動かなくなったのを見済まして、私は悠然と落ちた帽子を拾い着崩れた着物の襟を合わせ、是でいいんだ、ふん、是でいいんだ、と呟き乍ら、一歩一歩念を押す気持で石段を下り、来懸る円タクを留めようと至極呑気な気持で待って居りました。

訝しな陽気だと思って居りましたよ、旦那、やっぱり風が出て来ましたね、と云うハンドルを握った運転手の声に、それ迄ウツラウツラ居眠って居た私ははっと気付いて窓の外を眺めますと、何処を通っているのか郊外の新開地らしく看板の並んだ商店街の旗や幟がパタパタ風に翻って居りました。車が動き出すと同時に私は苦痛に近い疲労を覚え、割れる様な頭痛と絞られる様な吐気に攻め立てられ、到底眼を開けて居る事に堪えられず其の儘崩折れる様に席の上に居眠って居たのであります。