Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうざ
陽炎座
泉 鏡花
Lesen Sie 陽炎座 (かげろうざ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.381 Zeichen · 67 Bildschirme
絶えず続いて、音色は替っても、囃子は留まらず、行交う船脚は水に流れ、蜘蛛手に、角ぐむ蘆の根を潜って、消えるかとすれば、ふわふわと浮く。浮けば蝶の羽の上になり下になり、陽炎に乗って揺れながら近づいて、日当の橋の暖い袂にまつわって、ちゃんちき、などと浮かれながら、人の背中を、トンと一つ軽く叩いて、すいと退いて、
――おいで、おいで――
と招いていそうで。
手に取れそうな近い音。
はっ、とその手を出すほどの心になると、橋むこうの、屋根を、ひょいひょいと手踊り雀、電信柱に下向きの傾り燕、一羽気まぐれに浮いた鴎が、どこかの手飼いの鶯交りに、音を捕うる人心を、はッと同音に笑いでもする気勢。
春たけて、日遅く、本所は塵の上に、水に浮んだ島かとばかり、都を離れて静であった。
屋根の埃も紫雲英の紅、朧のような汽車が過ぎる。
その響きにも消えなかった。
二
松崎は、――汽車の轟きの下にも埋れず、何等か妨げ遮るものがあれば、音となく響きとなく、飜然と軽く体を躱わす、形のない、思いのままに勝手な音の湧出ずる、空を舞繞る鼓に翼あるものらしい、その打囃す鳴物が、――向って、斜違の角を広々と黒塀で取廻わした片隅に、低い樹立の松を洩れて、朱塗の堂の屋根が見える、稲荷様と聞いた、境内に、何か催しがある……その音であろうと思っ