Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうざ
陽炎座
泉 鏡花
Lesen Sie 陽炎座 (かげろうざ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.381 Zeichen · 67 Bildschirme
自分のものは、肌のものから、足袋まで、綺麗に片づけて、火熨斗を掛けて、ちゃんと蔵って、それなり手を通さないでも、ものの十日も経つと、また出して見て洗い直すまでにして、頼まれたものは、兄さんの嬰児のおしめさえ折りめの着くほど洗濯してさ。」
「おやおや、兄の嬰児の洗濯かね。」
「嫂というのが、ぞろりとして何にもしやしませんやね。またちょっとふめるんだわ。そりゃお稲ちゃんの傍へは寄附けもしませんけれども。それでもね、妹が美しいから負けないようにって、――どういう了簡ですかね、兄さんが容色望みで娶ったっていうんですから……
小児は二人あるし、家は大勢だし、小体に暮していて、別に女中っても居ないんですもの、お守りから何から、皆、お稲ちゃんがしたんだわ。」
「ははあ、その児だ……」
ともすると、――それが夕暮が多かった――嬰児を背負って、別にあやすでもなく、結いたての島田で、夕化粧したのが、顔をまっすぐに、清い目をって、蝙蝠も柳も無しに、何を見るともなく、熟と暮れかかる向側の屋根を視めて、其家の門口に彳んだ姿を、松崎は両三度、通りがかりに見た事がある。
面影は、その時の見覚えで。