Japanische Klassiker mit Furigana
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すずめがもりのかいい
雀が森の怪異
田中 貢太郎
Lesen Sie 雀が森の怪異 (すずめがもりのかいい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.614 Zeichen · 14 Bildschirme
その手さきに眼をやった彼は、そこに奇怪な物を見つけて血が逆上したように驚いた。それはその人さし指に己が結んだと同じような紙捻がまいてあることであった。彼はもしや神中ではないかと思って頭の方へ往った。と、その時町の有志らしい老人がそっと藁莚の端をまくって死人の顔を見るようにするので、彼もそれを幸いにして眼をやった。それは平べったい顔のもう四十以上に見える神中とは似ても似つかない大男であった。彼はやっと安心したものの左の人さし指に己が縛りつけたような紙捻があるので、なんだかその事件に暗い糸をひいているようでたまらなかった。
彼は早く神中に逢いたかった。神中に逢いさえすればいやなことを考える必要がなかった。しかし、神中のいる処はわからなかった。彼は下宿へ帰って朝飯を喫い、学校へ出かける時お媽さんに云った。
「今日、もし、一昨日の晩遅く来た男が来たなら、一時にはきっと帰ると云ってください」
「一昨日の晩って、お客さんがあったのですか」
「十二時比にあったじゃありませんか、何人が戸をあけたのです」
「わたし知らなかったのですよ、うちの人でしょうか、おかしいですね」