Japanische Klassiker mit Furigana
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めすについて
雌に就いて
Lesen Sie 雌に就いて (めすについて) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.994 Zeichen · 11 Bildschirme
こちらでいたしますから、と低いがはっきり言うのだ。不意に言うのだ。」
「なるほどね。そんな女なのだね。」
「それから、男の児のような下手な手つきで、僕にお酌をする。すましている。お銚子を左の手に持ったまま、かたわらの夕刊を畳のうえにひろげ、右の手を畳について、夕刊を読む。」
「夕刊には、加茂川の洪水の記事が出ている。」
「ちがう。ここで時世の色を点綴させるのだね。動物園の火事がいい。百匹にちかいお猿が檻の中で焼け死んだ。」
「陰惨すぎる。やはり、明日の運勢の欄あたりを読むのが自然じゃないか。」
「僕はお酒をやめて、ごはんにしよう、と言う。女とふたりで食事をする。たまご焼がついている。わびしくてならぬ。急に思い出したように、箸を投げて、机にむかう。トランクから原稿用紙を出して、それにくしゃくしゃ書きはじめる。」
「なんの意味だね?」
「僕の弱さだ。こう、きざに気取らなければ、ひっこみがつかないのだ。業みたいなものだ。ひどく不気嫌になっている。」
「じたばたして来たな。」
「書くものがない。いろは四十七文字を書く。なんどもなんども、繰りかえし繰りかえし書く。書きながら女に言う。