Japanische Klassiker mit Furigana
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おしゃく
雛妓
岡本 かの子
Lesen Sie 雛妓 (おしゃく) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.482 Zeichen · 53 Bildschirme
少年は自分でもそのうつろに堪えないで、この界隈を酒を飲み歩いた。女たちは少年の心のうつろを見過ごしてただ形の美しさだけを寵した。逸作は世間態にはまず充分な放蕩児だった。逸作とわたくしは幼友達ではあるが、それはほんのちょっとの間で、双方年頃近くになり、この上野の森の辺で初対面のように知り合いになったときは、逸作はその桜色の顔に似合わず市井老人のようなこころになっていた。わたくしが、あんまり青年にしては晒され過ぎてると言うと、彼は薩摩絣の着物に片手を内懐に入れて、「十四より酒飲み慣れてきょうの月です」と、それが談林の句であるとまでは知らないらしく、ただこの句の捨げ遣りのような感慨を愛して空を仰いで言った。
結婚から逸作の放蕩時代の清算、次の魔界の一ときが過ぎて、わたくしたちは、息も絶え絶えのところから蘇生の面持で立上った顔を見合した。それから逸作はびびとして笑いを含みながら画作に向う人となった。「俺は元来うつろの人間で人から充たされる性分だ。おまえは中身だけの人間で、人を充たすように出来てる。やっと判った」とその当時言った。
それから十余年の歳月はしずかに流れた。