Japanische Klassiker mit Furigana
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エス・オー・エス・ボーイ
難船小僧
夢野 久作
Lesen Sie 難船小僧 (エス・オー・エス・ボーイ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.169 Zeichen · 43 Bildschirme
つまりあの小僧の生命を俺が預かるんだ。船長が飼っているものを、お前達が勝手にタタキ殺すってのは穏やかじゃねえからナ。犬でも猫でも……」
「ヘエ。そんなもんですかね。ヘエ。成る程。親方がそこまで云うんなら私等あ手を引きましょうが、しかし機関室の兄貴達に、先に手を出されたら承知しませんよ。モトモトあの小僧は甲板組の者ですからね」
「わかってるよ。それ位の事あ」
「ありがとうゴンス。出娑婆った口を利いて済みません。兄貴達も容赦して下せえ」
と会釈をして兼は甲板へ帰った。生命知らずの兇状持ばかりを拾い込んでいる機関部へ来て、これだけの文句を並べ得る水夫は兼の外には居ない。現に機関部の連中は、私の寝室の入口一パイに立塞がって、二人の談判に耳を傾けていたが……むろんデッキ野郎の癖に、わざわざ親方の私の処へ押しかけて来る兼の利いた風な態度を憎んで、今にも飛びかかりそうな眼付をしながら扉の蔭に犇いていたものであるが、兼が「兄貴達も容赦してくれ」と云って頭をグッと下げた会釈ぶりが気に入ったらしく、皆顔色を柔らげて道を開けて通してやった。平生なら甲板から塵一本、機関室へ落し込んでも、只はおかない連中であるが……。