Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme
秋の日のどんよりと曇って風もなく雨にもならず暮れて行くようにわたしの一生は終って行くのであろうというような事をいわれもなく感じたまでの事である。わたしはもうこの先二度と妻を持ち妾を蓄え奴婢を使い家畜を飼い庭には花窓には小鳥縁先には金魚を飼いなぞした装飾に富んだ生活を繰返す事は出来ないであろう。時代は変った。禁酒禁煙の運動に良家の児女までが狂奔するような時代にあって毎朝煙草盆の灰吹の清きを欲し煎茶の渋味と酒の燗の程よきを思うが如きは愚の至りであろう。衣は禅僧の如く自ら縫い酒は隠士を学んで自ら落葉を焚いて暖むるには如かじというような事を、ふとある事件から感じたまでの事である。
十年前新妻の愚鈍に呆れてこれを去り七年前には妾の悋気深きに辟易して手を切ってからこの方わたしは今に独で暮している。興動けば直に車を狭斜の地に駆るけれど家には唯蘭と鶯と書巻とを置くばかり。いつか身は不治の病に腸と胃とを冒さるるや寒夜に独り火を吹起して薬飲む湯をわかす時なぞ親切に世話してくれる女もあらばと思う事もあったが、しかしまだまだその頃にはわたしは孤独の佗しさをば今日の如くいかにするとも忍び難いものとはしていなかった。