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Japanische Klassiker mit Furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme

Aozora Bunko

重吉は昼頃まで寐るつもりで再び夜具の中へ這入って、うとうとしたかと思うと、襖の外からお千代の名を呼ぶ女の声を聞きつけた。玉子が昨夜の出先から帰途に立寄ったものと思って、

「お這入り。今病院へ行ったよ。」と言いながら襖のあく方へ寐返りして見ると玉子ではなくて、髪を流行おくれの束髪に結った三十前後の女中らしい女である。見た顔ではあるが重吉は誰だとも思い出せない。女はずかずかと枕元まで歩み寄り、立ったままで、いきなり、

「大変なの。」と言った。この様子と語調とで重吉はすぐに万事を察したらしく、

「そう。わざわざありがとう。」と言いながら飛起きると共に壁にかけた着物を取り、「どちら様でしたね。つい……。」

「芳沢旅館です。唯った今お上さんがつれて行かれたんですよ。それから帳場にもう一人の刑事さんが張込んでおきみさんを外へ出さないようにしているんです。帳場に方々の電話番号の書いた紙があるんですよ。それを見られると、皆さんが迷惑すると思ってね。わたしは丁度憚りに入っていたから、外へ逃げ出したんだけれど、一銭も持っていないから、自働電話をかける事も出来ないんでしょう。