Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme
そしてまた元のように鏡台の前の破畳の上に、つかれきった身体を投出したまま、この次は夜の部になるその日最終の舞台を待つのである。この間いつも二、三時間ばかり。わたくしは踊子と共に舞台裏へ降りて、女たちが揃って足を蹴上げる芸当を、背景の間から窺いて見ることもある。休んでいる芸人たちと楽屋外の裏通へ出て、その辺に並んでいる射的屋の店先に立ち、景物の博多人形を射落して見たり。やがてそれにも飽きれば再び二階の踊子部屋へ立戻るのである。鮫屋の爺さんはこの間に岡持の持運びも二、三度に及んだ後らしく、今は空の丼や小皿をも片づけ終り、今日一日の仕事もやっとしまったという風で、耳朶にはさんだ巻煙草の吸さしを取って火をつけながら、見れば兵卒の衣裳をつけた青年部の役者と頻に話をしていた。
「そうか。じゃ、おじさんも戦争に行ったことがあるんだね。何処へ行ったんだ。」
「今話したじゃねえか。日魯の大戦争よ。満洲じゃねえか。」と言って、爺さんは禿頭から滑り落ちそうになる鉢巻の手拭を締直したが、「ええと。何年前だったろう。おれももう意久地がねえや。」
急に何やら思出したように溜息をつき、例の如く細い目をぱちくりさせながら、じっと兵卒の衣裳に鈍い視線を注いでいた。