Japanische Klassiker mit Furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme
まるで人情ばなしにでもありそうな話さ。女房の実家へ置き去りにして来た娘に逢ったんだ。女湯もたまにゃア覗いて見るものさ。」
「へえ。まア――。」
「その時分女房は三十越していい年をしていやがったが、よくよくおれに愛想をつかしゃアがったと見えて他へ片付いてしまやアがったんで、つい娘や子供の事もそれきり放捨って置いたんだがね、数えて見るともう十八だ。」
「この辺においでなさるんですか。まアこっちへお入んなさい。」
「湯ざめがしそうだから着物を着て来よう。おかみさん娘が尋ねて来るはずなんだ。あんまりじじむさい風も見せたくないよ。」
兼太郎は二階へ上り着物を着換えてお照の来るのを待った。午飯を食べてしまったが一向格子戸の明く音もしない。兼太郎は窓を明けて腰をかけ口に啣えた敷島に火をつける事も忘れて、路地から表通の方ばかり見つめていたが娘の姿は見えなかった。お照はやはりおれの事をよく思っていないと見える。人情のない親だと思うのも無理はない。尋ねて来ないのも尤もだ。手の甲で水洟をふきながら首をすっ込めて窓をしめると、何処かの家の時計が二時を打ち、斜に傾きかけた日脚はもう路地の中には届かず二階中は急に薄暗くなった。