Japanische Klassiker mit Furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme
」
男を内へ上げた後、かみさんは男の足駄を手早く隠してぴったり水口の障子をしめた。男は伊三郎という新富町見番の箱屋で、何でもここの家のおかみさんが待合の女中をしている時分から好い仲であったらしい。兼太郎は去年の今頃は毎日二階にごろごろしていたので様子は委しく知っているのであった。その時分には二人は折々二階へ気を兼ねて別々に外へ出て行った事もあった。
兼太郎は炬燵に火を入れて寝てしまおうかと思ったが今朝は正午近くまで寝飽きた瞼の閉じられようはずもないので、古ぼけた二重廻を引掛けてぷいと外へ出てしまった。本より行くべき処もない。以前ぶらぶらしていた時分行き馴れた八丁堀の講釈場の事を思付いて、其処で時間をつぶした後地蔵橋の天麩羅屋で一杯やり、新富町の裏河岸づたいに帰って来ると、冬の日は全く暮果て雪解の泥濘は寒風に吹かれてもう凍っている。
格子戸をあけると、わざとらしく境の襖が明け放しになっていて、長火鉢や箪笥や縁起棚などのある八畳から手水場の開戸まで見通される台処で、おかみさんはたった一人後向になって米を磨いでいた。
「おかみさん。とうとう来なかったか。