Japanische Klassiker mit Furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme
」と兼太郎は火鉢の火を掻き立てながら、「ぬがないでもいいよ。寒いから着ておいで。」
けれどもお照は後向になってコートと肩掛とを取乱された六畳の間の出入口に近い襖の方に片寄せながら、
「さっき昼間の中来ようと思ったんですよ。だけれどお友達と浅草へ行く約束をしたもんだから。」
「そうか、活動か。」と兼太郎は小形の長火鉢をお照の方へと押出した。
「お父さん、これはつまらないものですけれど、お土産なの。」
「何、お土産だ。それは有難い。」と兼太郎は真実嬉しくてならなかったので、お照が火鉢の傍へ置いた土産物をば膝の上に取って包紙を開きかける。土産物は何かの缶詰であった。
「お父さん、やっぱり御酒を上るんでしょう。浅草にゃ何もないのよ。」
「ナニこれァお父さんの大好きなものだ。」
兼太郎は嬉涙に目をぱちぱちさせていたがお照は始終頓着なくあたりを見廻す床の間に二合罎が置いてあるのを見ると自分の言った事が当っているので急に笑いながら、
「お父さん、やっぱり寝る時に上るんですか。」
「何だ。はははは。とんだものを目付かったな。何、これァ昨夜雪が降ったから途中で一杯やったら、もういいというのに間違えてまた一本持って来やがったからそのまま懐中へ入れて来たんだ。