Japanische Klassiker mit Furigana
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あめ
雨
織田 作之助
Lesen Sie 雨 (あめ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.261 Zeichen · 44 Bildschirme
ある日、山谷は豹一に、
「坊ん坊ん。ええもん見せたろ」
こっそり見せてくれたのは、あくどい色のついた小さな絵だった。そして山谷は、お君と安二郎にその絵を結びつけ、口に泡をためて淫らな話をした。いきなり、豹一はぎりぎり歯軋りし、その絵を破ってしまった。
「何すんねん」
山谷が驚いて豹一の顔を見ると、怖いほど蒼白み、唇に血がにじんでいた。子供に似合わぬ恨みの眼がぎらぎらしていた。
誇張していえば、その時豹一の自尊心は傷ついた。また、しょんぼりした。辱かしめられたと思い、性的なものへの嫌悪もこのとき種を植えつけられた。敵愾心は自尊心の傷から膿んだ。安二郎を見る眼つきが変った。安二郎の背中で拳骨を振りまわした。憂鬱にもなった。母は毎晩安二郎の肩をいそいそと揉んだ。
豹一は一里以上もある道を築港まで歩いて行き、黄昏れる大阪湾を眺めて、夕陽を浴びて港を出て行く汽船にふと郷愁を感じたり、訳もなく海に毒づいたりした。
ある日、港の桟橋で、ヒーヒー泣き声を出したい気持をこらえて、その代り海に向って、
「ばか野郎」
と呶鳴り、誰もいないと思ったのが、釣りをしていた男がいきなり振り向いて、