Japanische Klassiker mit Furigana
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あめ
雨
織田 作之助
Lesen Sie 雨 (あめ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.421 Zeichen · 60 Bildschirme
金網にはねとばされて危く助かった豹一が、誰にもらったかキャラメルを手にもち、人々にとりまかれて、ワア/\泣いている所を見た近所の若い者が、あッあれは毛利のちんぴらだと自転車を走らせて急を知らせてくれ、お君がかけつけると、黄昏の雪空にもう灯りをつけた電車が二十台も立ち往生し、車体の下に金助の体が丸く転っていた。ギャッと声を出したが、不思議に泪は出ず、母親の姿を見つけて豹一が手でしがみついて来た時、はじめて咽喉の中が熱くなって来た。そして何も見えなくなった。やがて、活気づいた電車の音がした。
その夜、近くの大西質店の主人が褐色の風呂敷包をもって訪れて来、「実は先年あんたの嫁入の時、支度の費用や言うてお金を金助はんに御融通しましてん、その時お預りした品が利子もはいっとりまへんしますさかい流れていますのやが、何でもあんたの家には大切な品や思いますので相談によっては何せんこともおまへんこう思いましてな、何れ、電車会社の方の」謝罪金を少くとも千円と当込んで、之ですと差出した品を見ると、系図一巻と太刀一振であった。ある戦国時代の城主の血統をひいている金助の立派な家柄がそれによって分明するのであったが、お君には初めてみる品であり、又金助から左様な家柄に就てついぞ一言もきかされたことがなかった。