Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきとどろ
雪と泥
山本 周五郎
Lesen Sie 雪と泥 (ゆきとどろ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.993 Zeichen · 40 Bildschirme
「さあどうかしら」おつねはせっせと針を運んだ、「――凄腕のおしのさんだって、これで案外人の好いところがあるからね」
「よしてったら、もうわかったわよ」おしのは苛立たしそうにきせるをはたいた、「たかが壱両二分足らずじゃないの、すぐに取返してみせるし、それに、……まんざらの損ってわけでもないのよ」
「負け惜しみを云うつもり」
「正直なはなし」とおしのは含み笑いをした、「みかけのうぶなわりにはいい味だったんだ」
「せめてね、――」
おつねがそう云いかけたとき、格子をあけて、女のしゃがれた声が聞えた。
「ごめん下さい、おしの姐さんおいでですか」
「ああいますよ」おしのはきせるを置いて、立ちあがりながら云った、「取られるものはきちんと取られる、こうなると日掛も楽じゃないわね」
そして次の間へ出ていった。