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Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきしろやまめ

雪代山女魚

佐藤 垢石

Lesen Sie 雪代山女魚 (ゆきしろやまめ) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.297 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、一度分け入れば悉く処女地である。二間の竿に、二尺の道糸をつけ、落ち込みに餌を下げると、文句なしにグイと引き込む。次の釣り場も、次の釣り場も同じである。

ただ注意せねばならぬのは大きな熊が鬼の押し出しから遊びに出てくることだ。熊は山独活の根を大そう好物としている。初夏の頃には、川べりの湿地に出て、山独活を掘りながら戯れているから、大声で歌でもうたって行けば先方で逃げよう。

筆者も昨年、この川の緑に生い茂る芒原の中で大熊に出会い、命からがら一匡邑近くまで飛び帰ったことがあった。

高山には、いつまでも冬が残っている。六里ヶ原の原頭に立って、越後の方の遠い深い山から吹いてくる北の風に棚引いて、浅間の噴煙が武蔵国の方へ流れ行く雄大な展望に接し得るのは、山の釣り人が持つ特権だ。

六

東京に近い川で山女魚の棲んでいるのは、奥多摩の本流とその支流日原川と、秋川とである。だが、東京に近いだけに交通の便がよく、約二、三年漁期に入ると一竿を肩にした人々が、我れも我れもと押しかけるので、既に早春のうちに漁り尽くしてしまう。とりわけ、今春は渓流魚釣りの熱が都会に普及してきたので、日原川の山女魚は種も尽きよう、という有様となった。