Japanische Klassiker mit Furigana
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せつれいぞくき
雪霊続記
泉 鏡花
Lesen Sie 雪霊続記 (せつれいぞくき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.120 Zeichen · 13 Bildschirme
ウオオオオ!
俄然として耳を噛んだのは、凄く可恐い、且つ力ある犬の声でありました。
ウオオオオ!
虎の嘯くとよりは、竜の吟ずるがごとき、凄烈悲壮な声であります。
ウオオオオ!
三声を続けて鳴いたと思うと……雪をかついだ、太く逞しい、しかし痩せた、一頭の和犬、むく犬の、耳の青竹をそいだように立ったのが、吹雪の滝を、上の峰から、一直線に飛下りたごとく思われます。たちまち私の傍を近々と横ぎって、左右に雪の白泡を、ざっと蹴立てて、あたかも水雷艇の荒浪を切るがごとく猛然として進みます。
あと、ものの一町ばかりは、真白な一条の路が開けました。――雪の渦が十オばかりぐるぐると続いて行く。……
これを反対にすると、虎杖の方へ行くのであります。
犬のその進む方は、まるで違った道でありました。が、私は夢中で、そのあとに続いたのであります。
路は一面、渺々と白い野原になりました。
が、大犬の勢は衰えません。――勿論、行くあとに行くあとに道が開けます。渦が続いて行く……
野の中空を、雪の翼を縫って、あの青い火が、蜿々と蛍のように飛んで来ました。
真正面に、凹字形の大な建ものが、真白な大軍艦のように朦朧として顕れました。