Japanische Klassiker mit Furigana
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せつれいきじ
雪霊記事
泉 鏡花
Lesen Sie 雪霊記事 (せつれいきじ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.532 Zeichen · 14 Bildschirme
「これは関さんか。」
と、いきなり言います。私は吃驚しました。
お米さんが、しなよく頷きますと、
「左様か。」
と言って、これから滔々と弁じ出した。その弁ずるのが都会における私ども、なかま、なかまと申して私などは、ものの数でもないのですが、立派な、画の画伯方の名を呼んで、片端から、奴がと苦り、あれめ、と蔑み、小僧、と呵々と笑います。
私は五六尺飛退って叩頭をしました。
「汽車の時間がございますから。」
お米さんが、送って出ました。花菜の中を半の時、私は香に咽んで、涙ぐんだ声して、
「お寂しくおいでなさいましょう。」
と精一杯に言ったのです。
「いいえ、兄が一緒ですから……でも大雪の夜なぞは、町から道が絶えますと、ここに私一人きりで、五日も六日も暮しますよ。」
とほろりとしました。
「そのかわり夏は涼しゅうございます。避暑にいらっしゃい……お宿をしますよ。……その時分には、降るように蛍が飛んで、この水には菖蒲が咲きます。」
夜汽車の火の粉が、木の芽峠を蛍に飛んで、窓にはその菖蒲が咲いたのです――夢のようです。……あの老尼は、お米さんの守護神――はてな、老人は、――知事の怨霊ではなかったか。