Japanische Klassiker mit Furigana
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くもとこもりうた
雲と子守歌
小川 未明
Lesen Sie 雲と子守歌 (くもとこもりうた) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.823 Zeichen · 10 Bildschirme
どんなに寒い日でも、健康な若い人たちは、家にじっとしていられず、なんらか楽しみの影を追うて、喜びに胸をふくらませ、往来を歩いています。こうした人たちの集まるところは、いつも笑い声のたえるときがなければ、口笛や、ジャズのひびきなどで、煮えくり返っています。しかし、路一筋町をはなれると、急に空き地が多くなるのが例でした。なかでも病院の建物の内は、この日とかぎらず、いつも寂然としていました。
どの病室にも、顔色の悪い患者が、ベッドの上に横たわったり、あるいは、すわったりして、さも怠屈そうに、やがて暮れかかろうとする、窓際の光線を希望なく見つめているのでした。
「あんた、いい顔色をしているのね。」
このとき、火の気のない廊下で、すれちがった一人の看護婦が、同じく白い服を着た友だちに、言葉をかけました。
「そう、そんなに赤いこと。外の冷たい風に当たってきたからよ。」
「町へいってきたの、うらやましいわ。私なんか、昨夜から休まないんですもの。」
「よくないの? 困ったわね。」
「まだ若い奥さんなのよ。お子さんが二人もあるんですって、ほんとうに、お気の毒よ。なおればいいが。