Japanische Klassiker mit Furigana
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でんしゃていりゅうじょう
電車停留場
豊島 与志雄
Lesen Sie 電車停留場 (でんしゃていりゅうじょう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.082 Zeichen · 31 Bildschirme
生意気な風をしといて、酒のせいだとは云わせないぞ。逃げたければ、車掌に謝った上で逃げ失せろ。謝るまでは其処を一寸も動かさぬから、そう思っとるがいい。……おい車掌は何処へ行ったんだ?」
然しその時木原藤次は、も一人の車掌と運転手とに何やら囁かれて、もう電車に乗ってしまっていた。そして、好奇心に駆られてる数名の乗客を残したまま、電車を走らせ初めた。それを麦藁帽の男は見送って、呆気に取られたように佇んだ。
野口昌作は殆んど本能的に、その隙に乗じた。
「見ろ、間抜め! 貴様なんかを相手にする奴があるものか。」
云い捨てて彼は、二三歩其処を遠退きかけた。
男はその声にぎくりとして向き返ったが、横風に歩き出してる野口昌作の横顔を見ると、太い眉根を震わして両の拳を握りしめた。野口昌作はその気配を感じて、一寸足を止めながら、ちらと横目を注いだ。
「待て!」と男は叫んだ。
声の調子の真剣なのに気を打たれて、野口昌作は其処に立止ったが、相手の一喝にひるんだ自分自身を、無理に引立てるようにかっと唾を吐いて、また一歩足を踏み出した。瞬間に、唾を吐いたのはいけなかったと思うと同時に、右肩を掴まれたのを感じた。