Japanische Klassiker mit Furigana
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でんしゃていりゅうじょう
電車停留場
豊島 与志雄
Lesen Sie 電車停留場 (でんしゃていりゅうじょう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.082 Zeichen · 31 Bildschirme
パナマの帽子越しに頭ががーんとして、眼の前が暗くなった。もう何もかも嫌になってしまった。何ということもなく方向を変えて、真直に家の方へ帰りかけた。
所が電車の中で、こんなに早く細君の前へのこのこ帰ってゆく自分自身が、馬鹿げて気の利かない者のように思われ出した。気が利かないと云えば、紙入の中をごまかした細君も、アメリカへ自分をやらない社長も、今日のつまらない送別会も、二次会をしない同僚等も、一杯込んでる電車も、何もかも気が利かなかった。そしてまたそれらのものが、彼自身を猶更気の利かないものに思わせるのだった。彼は忌々しい気持を眼付に籠めて、街路の有様を見送っていった。そこへ、車掌から言葉をかけられ、小僧が背負ってる行李の角で背中を突つかれ、車掌から肩を押され、ぐっと癪に障って、持ち前の酒癖も手伝って、腹立ちまぎれの気分がねっとりと車掌の方へ絡んでゆき、更に乗客等の視線から煽られて、引くに引かれぬ破目に陥いっていった。それを自らごまかす気もあって、かさに掛って怒鳴り立ててるうちに、監督という一寸面倒くさい言葉から、度を失いかけたのを取返すために、煙草の失態を仕出来してしまった。