Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんさいこうき

震災後記

喜田 貞吉

Lesen Sie 震災後記 (しんさいこうき) von 喜田 貞吉 (きたさだきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.544 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

戸部線の大通りや、停車場前など人通りの多い所には、飲食物や日用雑貨の露店が沢山に出ている。野菜が安く、茄子は三十個十銭という札が立っていた。なるほど野菜は地震にも被害はなく、しかも需用者は大いに減じたのだ。

品川行の汽車は相変らず鮨づめだ。

昨日も今日も汽車の中では乗り合客の対話が罹災のことばかりだ。そしてそれがいずれも気の毒なことばかりだ。相当身分のある商人らしい一紳士が、十五、六の令嬢風の娘の足に繃帯をかけたのを背負うて鎌倉から一所に乗り込んだ。聞けば日本橋にかなり手広く営業していた太物屋さんじゃそうで、店はむろん全焼して在京の家族店員は幸いに無事だったが、鎌倉の別荘が潰れたので、おりから行っていた家族や親戚のもののうち二人死んで六人負傷したということであった。どうにかこうにか東京の落ち付き先もきまったので、生き残ったものを引き取ろうとは思うが、この汽車の混雑ではどうも出来ず、やっとこのころになってこうして毎日一人ずつ自分で連れて帰っているのだとのことであった。

「どうです、再び潰れた別荘を修繕してお出かけになる御意志がありますか」といえば、「どうしてどうして全く懲り懲りです、それにこの焼き出されでどうしてそんな余裕がありますか」