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Japanische Klassiker mit Furigana

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れいこんだいじゅうごうのひみつ

霊魂第十号の秘密

海野 十三

Lesen Sie 霊魂第十号の秘密 (れいこんだいじゅうごうのひみつ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.100 Zeichen · 86 Bildschirme

Aozora Bunko

そこで、博士はスイス脱出後、どこかで戦禍を受け、爆死でもしたのではなかろうかという推定が下されたのであった。

ところが今、隆夫のたましいを面くらわせたものは、イタリアのバリ港の海岸通の棕梠の木にもたれている男の顔が、なんと彼の父親治明博士に非常によく似ていることであった。

「お父さん。お父さん。ぼく隆夫です」

と、隆夫のたましいは呼びかけた。くりかえし呼びかけた。

だが、相手は知らぬ顔をしていた。顔の筋一つ動かさなかった。

隆夫のたましいは失望した。

「すると、人ちがいなのだろうか」

すっかり悲観したが、なお、あきらめかねて隆夫のたましいは男の上をぐるぐるとびながら、彼のすることを見守っていた。

男は、木乃伊のように動かなかった。棕梠の木に背中をもたせかけたままであった。ところが一時間ばかりした後、その男はすこし動いた。彼は座り直した。片坐禅のように、片足を手でもちあげて、もう一方の脚の上に組んだ。それから両手を軽く握り目をうすく開いて、姿勢を正した。彼はたしかに無念無想の境地にはいろうとしているのが分った。隆夫のたましいは、これはなにか変ったことが起るのではないかと思い、ふわふわとびまわりながら、いっそう相手に注意をはらっていた。